Interview

社長インタビュー

4. ファンワークスのこれから

ファンワークスで手がけてきた作品の中心はショートアニメでしたが、2019年には劇場用映画『すみっコぐらし とびだす絵本と秘密のコ』を発表し、中規模の公開規模でありながら、興業収入約15億円を記録するなど大ヒットとなりました。手掛ける作品の規模はこれからどんどん大きくなっていく可能性もあるんでしょうか?

今後に向けて、『すみっコぐらし』みたいな映画のプロジェクトも企画中ですが、昨年はそれと同時に、TIKTOK向けの15秒のアニメシリーズを作りました。また、TVシリーズの企画もいくつも進行中です。ネット業界の発展が著しいので、「ネットで社会を作りましょう」みたいな風潮を感じることもあるんですけど、それぞれのメディアの立ち位置を理解した上で、それぞれの形態に合わせたアニメの作り方を模索していきたいです。これは多分広告代理店にいたからかもしれないですが、あらゆるメディアの可能性に興味があります。劇場で臨場感を持って観てもらう良さもありますが、ネットでダイレクトに世界中に配信する良さもあります。それぞれの特性を認めた上でファンワークスのアニメを作っていきたいです。

©2019日本すみっコぐらし協会映画部

アニメを発表する場も日々多様化していますから、
それに対応するためにも柔軟性が必要に
なってくるということですね。

そうですね。だから今の時代にふさわしいのは15秒なのか1時間なのか、5分なのか30分なのかって聞かれても、どの答えがベストなのか答えるのは難しいですよね。あるいはそこの答えを決めすぎないほうがいいっていうのもあります。仮に1分がベストだと会社の方針として決めてブランディングするのも何か違うなぁと、それこそ柔軟性が失われてしまうように思っています。
人によって感じ方も違うし、それはクライアントによっても、メディアによってもそうです。だからいろんな形でやっていくしかないですね。うちはショートアニメ作品が多いですが、ショートアニメを売りにすることすらも自己否定している感じはあります。

ファンワークスは通常のアニメ制作会社とは異なる点が
多く見られます。多様な業務を行っていくにあたって、
どういった人と仕事をしていきたいですか?

自分としては真っ当なことをやっているつもりなんですけど、日本企業的な考え方からすると少し変わっているかもしれません。そこは少し意識的にやっているところもあります。クリエイティブがやりたい方やプロデュースに興味のある方、企画広報がしたい方……人によってやりたい仕事は様々かと思いますが、基本はそれ全部に対応したいなと思っています。アニメ制作だけじゃなくて、制作出資などもやっていますし、製作委員会をまとめる幹事会社もやっています。アニメに様々な観点からトータルで関わっているので、いろいろな仕事のスタイルを提案できると思います。要は、その人が一本筋の通った人なら良いってことです。自分のやりたいこと、得意なことがあって、そのニーズが会社にあればってことなので、様々な方からの応募があればいいなと思います。

©2015, 2020 SANRIO サンリオ/TBS・ファンワークス

今後大きく変わっていくであろう時代のなかで、
ファンワークスはどうありたいですか?

一作一作適切なスタッフィングをして、戦略を練って、意味がある作品を作っていくことに尽きるかなと思っています。現在では自社企画も多くなってきました。あとは個人のクリエイターを発掘していくとか、アニメ以外のことをやるとか(!)、いろんな事をやっていきたいです。グローバルにどう対応していくかということは、今一番考えていることの一つです。スマホで見ることができるアニメとかは特に中国へのニーズが高まってきていますし、『アグレッシブ烈子』のヒットもあって欧米からの引き合いも増えてきています。世界の垣根はどんどん無くなってきているので、柔軟に対応していきたいです。