Interview

社長インタビュー

このインタビューは「ファンワークスではたらくこと」に興味がある方へむけた、ファンワークス代表 高山のインタビューです。 ファンワークス創設からの経緯、ファンワークスが行うアニメの「トータルプロデュース」について、そして、高山が描くファンワークスのこれからについてなど、ファンワークスを深く知りたい方は、ぜひご一読ください。

ファンワークス創設のきっかけ

高山さんは広告代理店、映像制作会社、アニメ制作会社を経た後にファンワークスを起業したとのことですが、まずはその経緯を教えてください。

30年以上前になりますが、大学を卒業した後すぐ広告代理店に入社しました。その頃からなんとなくエンタメに興味はありました。当時は広告代理店が文化産業に活発に働きかけていた時代だったので、そういった仕事に興味があったんです。そうしていくうちにエンタメそのものを作りたくなって、映画やTVドラマを作っている映像制作会社に、その後、ファミリー系アニメを作っているアニメ制作会社に転職しました。そこからしばらくして、新海誠さんの『ほしのこえ』や真島理一郎さんの『スキージャンプ・ペア』など、個人クリエイターによる作品が発表され始めました。当時DVDで、『ほしのこえ』が10万枚、『スキージャンプ・ペア』が50万枚を超えるセールスがあり、これは相当大きなビジネスになると感じました。そういったことがあり、当時盛り上がりをみせていたFLASHアニメーションのプロジェクトを始めたのですが、それを推進していくと社内競合してしまいそうでした。そんな時に、服部くんという26歳の才気溢れる若者と出会ったこともあり、二人でファンワークスを起業しました。

ファンワークスでは「カワイイ&ユカイ」なアニメーション作りをテーマにしていますが、どうしてこのテーマを持つようになったのでしょうか?

まず、自分がマニアックなアニメを見てこずにアニメ会社を始めたというところが大きいです。僕の世代のアニメ好きであればみんな観ていた『機動戦士ガンダム』とか『うる星やつら』みたいなアニメは、ほとんど見ていませんでした。そういうものよりもどっちかというと、渋谷系の音楽とかミニシアター系の映画といった、サブカルチャー的なものに興味がありました。アニメだとそれとは対局に、ディズニーに代表される王道のファミリーものが好きでした。アニメ会社に転職したのも、かわいいキャラクターものとか、ファミリー向けのものが好きだったからです。だから「カワイイ&ユカイ」と言っているのは、元々自分が把握できる範囲がそういう方向のものだったからだと思います。

現在のアニメ制作スタイルについて

ファンワークスは、十数名という少ない社員数で多くの作品を作っていますね。役職の割合はどういったものでしょうか?

そこまで細かく役職を分けておらず、クリエイティブ部門、プロデュース部門、経理・総務部門の3つに分かれています。クリエイターよりプロデューサーが多いのも特徴ですね。

プロデューサーよりクリエイターのほうが少ないのは意外です。

実際にアニメを作る仕事でいうと確かにクリエイターが一番多くなりますが、うちは外部のクリエイターと協力する形で仕事をしているので、必ずしも社内にたくさんのクリエイターを抱える必要は無いんです。特定の組織に属さない個人クリエイターの方々と仕事をすることも多くあり、基本テレワークで作業を進めてきました。個人クリエイターは自宅で作業をする人が多いんですよね。基本みんな外に出たくないというか(笑)『やわらか戦車』や『アグレッシブ烈子』の監督であるラレコさんは、創業以来、自宅のある茨城県つくば市で作業されています。地方や自宅に理想的な作業環境があるのならば、それをそのまま使えたほうがいいんじゃないかというのが元々の発想です。
クリエイターのネットワークを作り、それを管理するのがプロデューサーの仕事なので、仕事の数が増えるにしたがってプロデューサーの数も増えました。更に現在は、年々数や規模が増すプロジェクトや、数年先の企画に対応できるように、社内のクリエイターも増やすべく募集しております。

そういった制作スタイルをとっていることは、アニメ制作会社としては珍しいことでしょうか?

そうかもしれません。通常のアニメ制作会社は自社の中で制作ラインを組みます。大規模な映画を制作する場合は一本のラインを、30分もののテレビシリーズを作る場合は複数のラインを社内に作るといった具合です。だからアニメ制作会社の「仕事がいっぱいでこれ以上受けられません」というのは、ラインが埋まっていますってことを指すことが多いです。それに対してファンワークスは、社内に固定の制作ラインを持つということをやめています。仕事が来てからオーダーメイドでラインを組み上げる形をとっており、しかも社外の方ともラインを組める作り方をしています。ネット上でのテレワークが前提でラインを組んでいるので、ちょっとイレギュラーなことをやっているのかもしれません。

オフィスに行かなくても仕事ができることを求められる今の社会においては、かなりメリットの多いシステムのような気がします。

そうは言っても顔をあわせてやったほうが良いことも実際あるんですけど、集団で集まらないとできないやり方の限界は、新型コロナを経験して特に強く感じます。アニメ業界だけじゃなくて世の中全体的にそういう風潮にはあったと思うんですよね。ネットがどんどん便利になって家で仕事ができちゃうし、職場に行かなくてもいい方法を考えたほうがいいよねっていう。こういう事態になったときに全くノウハウが無かったりすると多分苦労すると思うので、こういった仕事の方法に慣れていたことは良かったなと思います。

ファンワークスが行うトータルプロデュース

ファンワークスでは、アニメ制作を行うだけでなく、その運用やプロモーション施策までをトータルでプロデュースしています。どうしてこのような体制をとるようになったのでしょうか?

元請けと言われるアニメ制作会社の社内体制って、セクション毎に細かく分けられているんです。例えば、ある場所に、いわゆる制作現場と呼ばれるスタジオがある一方で、より便利な別の場所に営業オフィスが存在する、という風になっています。そして両方にプロデューサーがいますから、同じ作品を担当していながら、プロデューサー同士があまり顔をあわせないってことが起きてしまうんです。大きな規模の作品を作るとなると制作と営業をそれぞれ専門化させることは確かに必要になるので、そのシステムが一概に間違っているとは言えません。だけど僕らは数分単位のショートアニメを作ることが多いので、それを分業化することはあまり効率的とは言えないのです。なので、決まったプロデューサーが、制作段階からその後の作品の運営まですべて一括で管理する仕組みにしています。
日本は今、プロデューサーが足りていないとよく言われるんですが、それは、トータルプロデューサーがいないってことなんです。でもそれは誰が悪いって訳ではなく、仕組みの問題に帰結します。だから、その仕組み自体を変えてしまうのが一番時代に即しているかなと考えて、こういう形にしました。

作品が出来上がった後のプロデュースまで行うことによって、全体的な視点から作品を管理することができるのですね。制作段階とその後の展開、どちらにより力を入れているのでしょうか?

作品が出来上がった後が実はかなり重要だと思っています。ターゲット、コンテンツ展開、プロモーション施策など、そういったことができていないと結局コンテンツとして成立しません。ただし、作品そのものが良くないと絶対売れないので、両方大事ですね。

一つの作品にかける時間や労力が増えることには、デメリットも生じてしまうのではないでしょうか。

制作会社的には、良く言えば面倒見が良いということだと思いますが、それが結局は合理的だと思っています。一つずつの作品でちゃんとヒットを出して、コンテンツを展開し、確実に制作費を回収していったほうが、無駄な労力が無くなるんですよ。曖昧に作ってしまうと、結局多くの作品を作らなければいけないことになるし、経営的に言うと自転車操業になるんですよね。作品を作り続けて、そのサイクルが止まったら潰れてしまうっていう。最近アニメ会社が倒産する原因の多くにそういった側面があります。そうしていくうちに資金が回らなくなり、更に仕事をしなければいけなくなって、どんどん人を雇って、それで肝心の作品の質が落ちてしまう。そうした悪循環にならないためにも、一つずつを最後まできちんとこなすほうが確実だと思います。

ファンワークスのこれから

ファンワークスで手がけてきた作品の中心はショートアニメでしたが、2019年には劇場用映画『すみっコぐらし とびだす絵本と秘密のコ』を発表し、中規模の公開規模でありながら、興業収入約15億円を記録するなど大ヒットとなりました。手掛ける作品の規模はこれからどんどん大きくなっていく可能性もあるんでしょうか?

今後に向けて、『すみっコぐらし』みたいな映画のプロジェクトも企画中ですが、昨年はそれと同時に、TIKTOK向けの15秒のアニメシリーズを作りました。また、TVシリーズの企画もいくつも進行中です。ネット業界の発展が著しいので、「ネットで社会を作りましょう」みたいな風潮を感じることもあるんですけど、それぞれのメディアの立ち位置を理解した上で、それぞれの形態に合わせたアニメの作り方を模索していきたいです。これは多分広告代理店にいたからかもしれないですが、あらゆるメディアの可能性に興味があります。劇場で臨場感を持って観てもらう良さもありますが、ネットでダイレクトに世界中に配信する良さもあります。それぞれの特性を認めた上でファンワークスのアニメを作っていきたいです。

アニメを発表する場も日々多様化していますから、それに対応するためにも柔軟性が必要になってくるということですね。

そうですね。だから今の時代にふさわしいのは15秒なのか1時間なのか、5分なのか30分なのかって聞かれても、どの答えがベストなのか答えるのは難しいですよね。あるいはそこの答えを決めすぎないほうがいいっていうのもあります。仮に1分がベストだと会社の方針として決めてブランディングするのも何か違うなぁと、それこそ柔軟性が失われてしまうように思っています。
人によって感じ方も違うし、それはクライアントによっても、メディアによってもそうです。だからいろんな形でやっていくしかないですね。うちはショートアニメ作品が多いですが、ショートアニメを売りにすることすらも自己否定している感じはあります。

ファンワークスは通常のアニメ制作会社とは異なる点が多く見られます。多様な業務を行っていくにあたって、どういった人と仕事をしていきたいですか?

自分としては真っ当なことをやっているつもりなんですけど、日本企業的な考え方からすると少し変わっているかもしれません。そこは少し意識的にやっているところもあります。クリエイティブがやりたい方やプロデュースに興味のある方、企画広報がしたい方……人によってやりたい仕事は様々かと思いますが、基本はそれ全部に対応したいなと思っています。アニメ制作だけじゃなくて、制作出資などもやっていますし、製作委員会をまとめる幹事会社もやっています。アニメに様々な観点からトータルで関わっているので、いろいろな仕事のスタイルを提案できると思います。要は、その人が一本筋の通った人なら良いってことです。自分のやりたいこと、得意なことがあって、そのニーズが会社にあればってことなので、様々な方からの応募があればいいなと思います。

今後大きく変わっていくであろう時代のなかで、ファンワークスはどうありたいですか?

一作一作適切なスタッフィングをして、戦略を練って、意味がある作品を作っていくことに尽きるかなと思っています。現在では自社企画も多くなってきました。あとは個人のクリエイターを発掘していくとか、アニメ以外のことをやるとか(!)、いろんな事をやっていきたいです
グローバルにどう対応していくかということは、今一番考えていることの一つです。スマホで見ることができるアニメとかは特に中国へのニーズが高まってきていますし、『アグレッシブ烈子』のヒットもあって欧米からの引き合いも増えてきています。世界の垣根はどんどん無くなってきているので、柔軟に対応していきたいです。